会談当日(後半の部)


Youth委員会関西学院高等部2年吉見 光生さん
灘中学校3年森口 瑛太さん
浜甲子園中学校2年平 将之介さん、石井市長

左からYouth委員会関西学院高等部2年吉見 光生さん、灘中学校3年森口 瑛太さん、浜甲子園中学校2年平 将之介さん、石井市長
実施日:2024年11月17日(日)
※学年は実施時点のもの
次世代の声を聴く 学生と市長が描く未来
将来を担う若者たちの真摯な声に、石井市長はどのように答え、
自らの気持ちを伝えるのか。熱い会談を繰り広げました。
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森口さん -
平さん -
吉見さん

森口さん
市長という仕事にやりがいを感じるのはどのような場面ですか。また、市長になられた理由も教えてください。

石井市長
ひと言で言うと、市民の皆さんの困り事とか願い事をかなえられた時が、一番やりがいを感じる場面ですね。市長になった理由は、さまざまな価値判断基準のバランスを取って物事を決めるという行政や政治の仕事にやりがいを感じたことです。また親として、子供たちが暮らすまちを少しでもよくできたらいいなという思いもあります。
吉見さん
将来、市長になりたいと思っていますが、市長になるためにどのようなことを学べばいいでしょうか。

石井市長
何を学べばいいか、決まりはありません。例えば、総理大臣や市議会議員にも多様なバックグラウンドがありますし、専門外の分野にも興味を持ち、深く学ぶことで本業で新たな視点を得る方もいます。政治学を学ぶのも基本的に無駄ではないと思いますが、何か興味のあることで深く学ぶものが一つか二つあるといいんじゃないでしょうか。薄くて表層的なことを学ぶだけではもったいないと思いますよ。
平さん
学校の給食について、伊丹市の中学校は給食費が無料と聞きましたが、有料の西宮市とは何が違いますか。

石井市長
西宮の場合は二つの意見があって、給食費を無償にしてほしいという意見と、ちゃんとお金を払うから栄養のある給食を出してほしいという意見があるんです。こうした中で、市民の皆さんの意見のバランスを見ながら、給食費については引き続きお金をいただくという選択にしています。
吉見さん
市内の中学生をスポーケン市に派遣するプログラムの再開を提案させていただきたいと思います。また、高校生に向けて、スポーケン市とのオンライン交流、国際交流プログラムの実施というのはどうでしょうか。
石井市長
このプログラムは、コロナ禍が理由で中止になっていますね。また、渡航費が高くなり同じ予算では厳しいという状況の中、どうしたら再開できるのか検討中です。高校生に向けた交流プログラムについては、インターネットのおかげで世界とすぐにつながることができるので、スポーケン市以外にも、文字通りの国際交流ができると思います。
森口さん
生成AIについて、西宮市は今後どのように取り入れていくのか教えてください。
石井市長
西宮市の場合、私自身はまだ使っていませんが、職員は実際にAIを使って文章を作ったりしています。全体的な技術の発展と、その特徴や時代の流れを見ていると、禁止にする必要はないと思っています。AIはまだまだ進化していくはずなので、上手に利用していきたいと思います。ただ、昔は10時間かけて作っていた論文をAIがたった30分で作ってくれるようになると、試行錯誤して論文を作るという苦労がわからなくなります。生みの苦しみを経験することも、場合によっては大切だとも思っています。
平さん
先日、気象庁から発表された南海トラフ地震臨時情報を受けて、どのような防災対策をしましたか。また、市長自身の防災対策について教えてください。
石井市長
注意レベルが続いていたので、第二庁舎の防災危機管理室という部屋で担当の職員が常に連絡できる体制を取りました。そして、市長と副市長がどこで何をしているのか情報共有をして、もし何かが起きた場合にはすぐに参集して人命救助ができるよう、職員全員に伝えました。市民の皆さんにお願いしているのは、まずは自助です。家の耐震とか、食べ物や水の備蓄とか。次に大切なのが、隣近所や町内で助け合う共助です。こうした自助と共助に加えて、市役所などの公助があります。自助・共助・公助、この組み合わせが防災対策の基本となります。私自身、家具の配置を見直し、お水と緊急トイレと食品を備蓄していますよ。
吉見さん
西宮市の公式インスタグラムについて、西宮の高校生と大学生が運営するのはどうでしょうか。若い視点から魅力を発信することで、若い世代に西宮市を知ってもらうきっかけになると思います。
石井市長
行政側の立場で言うと、他に参画してくれる仲間がどれだけいるかということですね。対応リスクや費用はどうするのか、具体的なことも考える必要があります。安定的な運用について理解が得られれば、すごく面白いなと思います。
平さん
西宮市の財政が赤字というのをニュースで知りましたが、赤字であることについてどう思っていますか。
石井市長
赤字はいいことだとは思っていません。けれど、市役所の収入は税金なので、必ずしも貯金を増やせばいいというものではありません。市の魅力を維持する意味で言えば投資も必要だと思っています。もちろん、支出が膨らみすぎている部分は見直しが必要です。このバランスをしっかり取っていけば必ず落ち着くと信じているので、きちんと説明しながら、現状としっかり向き合っていこうと思います。
森口さん
認知症について関心を持っているので、高齢者や認知症の方にどのような支援をされているのか教えてください。
石井市長
ご家族やご本人が少しでも疑わしいと感じた場合、地域でどのように暮らしていけばいいのかなどを相談できる窓口はすでにあります。認知症は恥ずかしいことではなく、加齢によってもなるし、脳の機能の衰えも足の衰えも一緒で、別にその人は人間として劣っているわけではありません。そういうことを多くの人に理解してもらえるような場所作りをいろいろなところで話をしています。
緊張感漂う中スタートした会談ですが、ユーモアを交えた市長の優しい言葉で学生の皆さんは徐々にリラックス。それぞれが事前に用意してきた質問はもちろん、予定外の質問や疑問も投げかけているうちに時間はあっという間に過ぎ、和やかな雰囲気で会談を終えることができました。西宮市の市長と直に言葉を交わした貴重な体験が、これからの学生生活に生かされるといいですね。